最高のチームワークで目標を達成した2019年鈴鹿8耐

2018-2019 FIM世界耐久選手権シリーズ(EWC)最終戦 “コカ・コーラ ”鈴鹿8時間耐久ロードレース 第42回大会

三重県 鈴鹿サーキット(1周=5.821km) 観客動員数(4日間合計):109,000人

予選:10番手(タイム:2分08秒758) 決勝:9位(211周) 天候:7月25日(木)晴れ 路面:ドライ               

26日(金)晴れ 路面:ドライ               

27日(土)雨  路面:ウエット               

28日(日)晴れ 路面:ドライ


小山のレース歴に、また一つ項目が加わった。名門モリワキか ら盟友である高橋裕紀選手と鈴鹿8耐に出場し、シングルフィ ニッシュを果たしたことだ。  

事前テストから小山と高橋選手は体格も走らせ方も似ており相 性はバッチリだったが、ライダーレッドとして加わったトロイ・ハー フォス選手は、背も高く好みのセットも違ったが、トロイ選手が2 人に合わせるとコメント。抜群のチームワーク、バックアップする チームの雰囲気もよくレースウイークを迎えていた。  

事前テストは、それほど暑くなかったが、予想通りレースウイー クに入る同時に梅雨明けし、気温も高くなる。コンディションが変 わるとテストまでのセットは適用しなくなることは分かっていた め、水曜、木曜と決勝でのアベレージを想定し、ひたすらセット アップに時間を費やしていた。その間、予選タイヤと呼ばれるソ フトタイヤも試してみるが、なかなかうまく機能させることができ ずにいた。   予選前のフリー走行でエンジンマップもフルパワーにして決勝 用タイヤと予選用タイヤを試し、どちらも、まずまずのフィーリン グだった。予選開始ギリギリまで、どちらのタイヤで行くかを悩ん でいたところ、高橋選手は予選用タイヤでタイムを出したことで 小山もチャレンジしようと決心する。そしてタイムアタックに入る と前にカワサキワークスのトプラック選手がいた。離される部分と 詰まる部分がありながらも自己ベストを更新しながらうまくついて行く。そしてスプーンカーブの進入で、いつもよりスピードが高 い状態だったにも関わらず、同じタイミングでブレーキングに入っ てしまう。明らかに遅れていたが、タイヤは1周しかもたない。何 とかコースにとどまってくれ! と叫びながらマシンをバンクさせる と、ギリギリコーナーをクリア。トプラック選手に離されてしまった ものの、2分08秒489をマーク。それまでのベストが2分09秒1 だったことを考えれば上出来だろう。高橋選手は2回目でタイム を更新。チーム平均は2分08秒758となり10番手につけトップ 10トライアルに進出を決めていた。

小山にとってトップ10トライ アルは初めてとなるだけに楽しみにしていたが、台風6号接近の ため残念ながら中止に。グリッドは、予選順位で決まることになり 10番手グリッドからスタートする。   

決勝日も暑くなったが、例年に比べればやや低い気温。アジア で戦ってきた小山にとっては、それほど暑く感じなかったと言う。 スタートは高橋選手が担当し、小山は2番手に出て行く。なるべ く高橋選手のタイムに合わせるように意識して周回。高橋選手と 小山が28周を3スティント、トロイ選手が26周を2スティントとい う予定通りに進んでいき、チームのノーミスでピットワークをこな しコースに送り出してくれた。そして今年も最後の夜間走行を小 山が担当。9番手を走っているチームとの差は約9秒。小山はで きる限りプッシュしていくが、西コースから雨が降ってくる。夕闇 迫る中、追い上げていく小山。西コースの雨は強くなり、雷も鳴っ ていた。ゴールまであと僅か。何とか雨が降らずに終わって欲し いと思いながら前を追う。そして残り5分。前を走るゼッケン2と の差は2秒とボードに出ていた。その直後お1コーナーだった。 ゼッケン2のマシンが目の前でエンジンブロー。白煙で前が見え ず、オイルの焦げた臭いを嗅ぎながら神様に祈りながら1コー ナーに進入。何とか転倒せずに回避できていた。その後、赤旗が 提示され、結果は一転したがノーミスで走り切りシングルフィニッ シュを果たしたのだった。



小山知良 コメント

「テストからレースを終えるまでチームの雰囲気は、すごくよかったですし、 最高のバイクを用意してくれて、ミスのないピットワークをしてくれたチームに感謝の気持ちでいっぱいです。最高のチームワークでコンスタントに走行でき、ノーミスで最後まで走り続けることができました。無事に最低限の目 標であったシングルフィニッシュの9位でレースを終えられたのは、心強い チームメイトの高橋選手とトロイ選手のおかげでもあります。応援してくださった皆様、本当にありがとうございました」